お道具について
「使用する道具」について
剣舞におきましては「刀(打刀)」と「扇(舞扇)」の二つが基本といえます。
もちろん刀に関しては打刀の他に脇差や太刀も使用いたしますが、これはごく限られた場合であり、実際のところ打刀を以って代用するのが常でございます。
この「打刀」とは、原型となるものは鎌倉時代に出来たとされるが現在の形になったのは室町時代以降です。 腰に差す際に刃を上向きにするもので(こうすることによってすぐに鞘から抜くことができる)、刀身が60p以上の大刀とそれ未満の脇差(小刀)とに分かれます(30p以上)。
実際のお稽古や舞台においてはこの打刀を模して造られた「模擬刀」というものを使用いたします。 しかし「模擬刀」とはいえ、刀身に刃が無いだけでそれ以外は真剣となんら遜色ありません。 ちなみに最近ではジュラルミンや軽量合金で作られた模擬刀がございますが、これらは重量感や重心などのように手に伝わる感触があらゆる面で真剣とは異なり、武芸としての側面を重んじる当派では仕様を認めておりません。 なお、「真剣」の使用につきましては当派で定められた職格以上、並びに宗家の許可が必要となります。
次に「扇」でございますが、ここでいう扇とは日舞で使用する「舞扇」のことでございます。 基本的には流派指定、もしくは日の丸となっておりますが、近年は演じる詩吟の内容に合った柄を選んだり、お稽古時は無地もしくは簡素な柄のものをと、場面に合わせて使い分けを行っております。
この他に例えば「名槍日本号」や「本能寺」などでは「槍」を使いますし、他に「盃」や「笠」などのように、吟題に応じた小道具も用います。