私は剣舞が好きです!
あまりにも唐突な表現ですが、本音です。 実際私自身が宗家という立場になり、そのために考えることや悩むこと、苦労することは山ほど増えました。 しかしそれでも剣舞からは離れられません。
なぜ私がこのように思うに至ったか・・・
そんな私が思う「剣舞」の魅力を、ここではトップページのご挨拶に書いたような芸事や伝統芸能という固い表現は敢えて抜きで述べさせていただきます。
まずはやはり「刀を扱う」ということではないでしょうか。
ご存じの通り「刀(日本刀)」は武具として、また芸術品としても世界最高峰のものですし、すでに幼き頃より何かしらの憧れは有ると思います。 以前テレビで実際に日本刀が発射された弾丸を真っ二つにするシーンもありました。現に私自身も幼少の折、木製の刀を自作しチャンバラをやりました。 そんなささやかな希望や夢が現実になります。 しかもそれは飾りでもなければ見よう見まねの真似事でもない、まして単なる「舞い」と侮ってはいけません。一つ一つの動きは古来より伝わる武芸としての「理」に基づく技術なのです。
現代社会において、ほんのわずかでも「侍(サムライ)」に近づけると思います。
まして今どき、正当な理由なくたとえそれが模擬刀でも持ち歩くと、立派な銃刀法違反ですからね。 剣舞に関わるものならノープロブレム! だって刀は剣士の心であり魂であり、分身だから。(ちゃんと正当な理由があるから大丈夫ってことです)
なによりやっぱり「カッコいい!」
そして少し付随することですが、「和装」に通じることができる!ということ。(基本男装限定ですが)
当然お稽古時や舞台では道着に袴、場合によっては袴下も着用しますので、自然と「着る」という技術が身につきます。 もちろん現代社会で日常的に街中を羽織袴で歩くことは少ないですが(私は平気です。 よく街中を和装で歩いてます。)己の技術として、自分で和装を着こなせるかそうでないかの差は大きいですよ。
これもまた「カッコいい!」
次に、望むのならば、そうして身に付けた技術を発揮する「場」がちゃんとあるということ。
これって結構大きいです! 最初の頃はあまり表舞台に立つのは苦手と思っていても、何か一つのことを一通り覚えると表現してみたくなるのが心情というもの。 当派を通じて各種大会やコンクールへの出場(なかには東京の国立武道館なんかもあります)も出来ますし、披露宴や祝賀会などのようなお祝いの席、神社などの神前における奉納の舞いなどでも日頃の鍛錬の成果を披露できます。 他の芸事ほど認知度は高くないかもしれませんが、その分逆に目立ちますよ。
そして、これはある意味「剣舞」のおける根幹の一つかもしれませんが、「目標」が常に存在する!ということ。
最初のきっかけは人それぞれでしょう。 刀に興味があるから・・・ 踊ることが好きだから・・・ 日本の文化に関心があるから・・・ 目立ちたいから・・・
それは何物にも拘束されない自由な意志であるべきです。 そして、それらの願望を叶えるために!、と心から思えるなら、それらは単なる「きっかけ」から立派な「目標」になります。
そして、その目標を追い続けるうちに自然とさらなる高みを望むようになります。 それが芸道であり、剣舞です。
芸道である剣舞に到達点はありません。 もし感じたのならそれは到達点ではなく、己が引いた限界点です。
ただ純粋に、まっすぐ己が思いを飽くなき探求心で追い続ければ、見返りや損得勘定ではなく、きっと本当の意味での自分自身の「人生の目標」になり得ることでしょう。